食物繊維が重要

食物繊維がすばらしい理由

食物繊維の重要性が叫ばれてだいぶ経過しました。現代人にその重要性は伝わったのでしょうか?、中央アフリカに住む原住民が大腸がんにかからないのは、たくさん食物繊維をとるおかげで、腸内で細菌が作り出した発がん物質が洗い流されてしまうからしいという考え方が動物実験で確認されたのは、20年も前のことです。

また食物繊維が、血液中にふえすぎたコレステロール値を下げる働きをもっていることは、もっと前からわかっています。食物繊維というと野菜に多いと誰もが知っていますが、ひと口に食物繊維といっても、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナンといろいろあります。

ところで、食物繊推がなぜコレステロール値を下げるのかというと、腸の中で胆汁酸を吸着して便といっしょに排泄させてしまうことに理由があります。胆汁酸は脂肪の消化を助けるために胆のうから出てきますが、目的を達したあとは、小腸の末端部で完全に再吸収され、肝臓へ戻り再び利用されます。

戦後まもないころは、1日に20g近く食物繊維をとっていましたが、食物繊維が多いと胆汁酸が再吸収されずに、どんどん失われてしまいます。そこで胆汁酸を減らさないために、体内で生産されているコレステロールが次々と胆汁酸に変わっていくのです。

ところが、最近の食生活は、7分づきのご飯が白米になっており、パンというと精製した小麦粉でル作ってあり、イモやインゲンの煮物はいなか料理とバカにして食べないというありさまですから、食物繊維の摂取量はかなり減りました。

ここ10数年はおよそ16gで推移しています。これでは胆汁酸が足りなくなることはないので、1日に500mg~1000mg生産されているコレステロールは使われようがなく、どんどん血液中に、増えていくというわけです。

実際に日本では、ふだんコレステロールや脂肪を摂りすぎてもいないのに血清総コレステロールが異常にふえてしまっている人が急増しています。
この原因こそ実は食物繊維不足なのです。1日20~25gを目標に摂取したいものです。コレステロールを確実に下げる薬は世界中のどの国にもなく、日常の食事をしらべても脂肪やコレステロールのとりすぎはないし、ほとほと困ったのですが、グルコマンナンという食物繊維をたっぶりもっているコンニャク精粉をためしに飲んでみたところ、血清総コレステロールはみごとに下がりました。

もう1つの食物繊維の効果は、糖尿病の予防と治療です。
食物繊維の多い食べ物をとると、胃内停滞時間が長くなり、その結果、食べ物を腸へ少しずつしか送り込めません。このことは、血液中のブドウ糖が急速に上昇するのを防ぐという意義をもっているのです。また、海藻類はアルギン酸という食物繊維をいっぱい含んでいます。このアルギン酸は、腸の中でナトリウムを吸着して便といっしょに排泄されますが、これによって血圧が下がったという成績が知られています。

なお食物繊維は、鉄、鋼、亜鉛といった健康にたいせつな微量元素を吸着し、腸での吸収を妨げるという悪い面をもっています。その意味では、食物繊維を薬としてのむのではなく、自然の食事としてとるのがよいのです。

どんな食物繊維がいいか

野菜はおおぎっばにいって食物繊維を1%含んでいます。しかしキャベツだけで10gの食物繊維をとろうとすると、1kgも食べなければなりません。
野菜や葉は煮たりゆでたりすれば食べやすくなりますから、おひたしや鍋物にするとよいでしょう。なにも野菜だけで食物繊維をとらなくてもよいのです。くだものにはペクチンというりっばな食物繊維が含まれています。
なかでもリンゴは、2~5%もの大量のペクチンを含んでいます。皮の内側に多いので、皮ごと食べることです。そのほかインゲン、トウモロコシ、イモ類なども積極的にとるといいでしょう。
こんな食習慣はNG、コレステロール値を下げる4つの食習慣は特にNGですので注意します。

コレステロール

ほとんどは体内で作られる

血液中のコレステロールは、ほとんどが体内で作り出されたものであり、食品としてとったコレステロールはほんの一部にしかすぎません。

それにしてもコレステロールをたくさん食べると血清コレステロールがふえるという理由で、米国では1日300mgに制限するようにすすめられています。ところで以前は、コレステロールは、とればとるほど血清コレステロールがふえるものと考、えられていましたが、食品としてとったコレステロールは4割が吸収されるだけで、残る6割は便といっしょに排泄されるという成績も知られており、とにかく現在では、すでにある程度のコレステロールをとっている人が、さらにコレステロールを多くとっても、血清コレステロール値はたいして変わらないということがわかってきたのです。

たとえば食品中のコレステロールが100mgまでの範囲では、血清コレステロールはいっこうにふえませんが、100mgをこすとその分に応じて上昇してきます。

ところが300~400mg以上となると、血清コレステロール値は頭打ちとなって、それ以上はあまり上昇してこないのです。

アメリカの食習慣では、コレステロールは1日に400~500mgとりますが、これを300mgにおさえると約10mgコレステロール値が下がるという計算となります。

卵がいけないのはアメリカの話

アメリカ人がとるコレステロールの約半分は卵黄です。それも卵そのものとしてとる分が半分、残る半分は卵黄を使った食品です。アメリカ人の食習慣では、肉や乳製品を制限することはたいへんむずかしいところから、せめて卵ぐらいはがまんするようにといわれているわけがここにあります。

しかし、だからといって日本人がこれを真に受けることはありません。というのは、コレステロールを食べても血清コレステロールがふえる人とふえない人とがあり、特に日本人はふえない体質の人が多いようです。

その理由の1つは、コレステロールを食べても、同時に十分な脂肪をとらないことには腸から吸収されにくいという点にありましょう。つまり日本人は、欧米人ほどは脂肪をとっていないのです。

安定したコレステロール値のために積極的に摂りたい5つの栄養素を習慣化するといいでしょう。

脂肪・油

脂肪はコレステロール量に関係する

高血圧の重要な合併症である心筋梗塞は、血清稔コレステロールが増えれば増えるほど多発します。血清総コレステロール値が高く、日本の4~5倍も心筋梗塞で死亡する欧米諸国では、コレステロールが悪者扱いされても当然のことです。

しかし「コレステロールは低いほうが安全だ」という欧米の考え方をそのまま日本にもち込んで、はたしてよいものなのでしょうか。この点については、日本に多発している脳卒中という病気が、コレステロール値の低い人が多いのです。
コレステロールとは?
そして、血液のコレステロールに大きく影響しているのが、ひと口にいえば脂肪なのです。

植物性ならいいは本当?

一般に、動物性脂肪はコレステロールをふやし、植物性脂肪はコレステロールを減らすといわれていますが、そんな単純なものではありません。

実は同じ脂肪でも、それを構成している脂肪酸には3つの種類があって、不飽和基を1つだけもっている一価不飽和脂肪酸はコレステロールを下げることが最近わかりました。
一方、飽和脂肪酸はコレステロールを上げるといわれていますが、この作用があるのはラウリン酸、ミリステン酸、パルミナン酸だけです。

そして不飽和基を2つ以上もっている多価不飽和脂肪酸はコレステロールを下げるといわれていますが、実際にコレステロールを下げるのは、植物油としては米油、コーン油、ペニバナ油、小麦胚芽油、ヒマワリ油だけです。

これに対し、魚に含まれる油は中性脂肪も下げる作用をもっています。

血栓の予防にEPA・DHAhttps://more-supplement.info/use/archives/30

また、ひと口に植物性脂肪といっても、飽和脂肪酸のほうが多価不飽和脂肪酸より多いヤシ油やココナツ抽は、コレステロールをふやす働きがあるのです。もう少し詳しくいうと、飽和脂肪酸がコレステロールをふやす力は、多価不飽和脂肪酸がコレステロールを減らす力より2倍も強力なのです。

では多価不飽和脂肪酸の含有量が多ければ多いほどコレステロール値を下げる力が大きいのかというと、必ずしもそうでありません。米(ヌカ)油は天ぶら油として多価不飽和脂肪酸を35%しか含んでいませんが、これを80%含んでいるペニバナ油( サフラワー油)とたいして変わらない働きをもっています。なお多価不飽和脂肪酸は、n・6系列とn・3系列があります。n・6系列とn・3系などはダイエットにも必須です。

魚と肉の作用は正反対

ところで近年、EPA(エイコサペンタエン酸) と呼ばれる多価不飽和脂肪酸が注目されています。これは、グリーンランドに住むイヌイットが粥状硬化症をおこしにくいということに研究の発端があるのですが、彼らの体内にはトロンボキサンと呼ばれる物質がまったくといってよいほど作られていません。この物質は、血管壁に血小板を呼び寄せて粥状硬化発生のきっかけを作り出す作用があって、アラキドン酸から作られるのですが、イヌイットの体内には、アラキドン」酸がEPAに置きかわっているのです。

EPAは魚油に含まれていますが、タイやカレイといった高級魚には意外と少なく、むしろイワシ、サバ、サンマ、アジといった、俗に青物と呼ばれる大衆魚に大量含まれています。最近は、高級魚は養殖されたものが多く流通しているので、体のことを考えたら大衆魚のほうがおすすめです。

また体内でEPAから合成されるのがDHA(ドコサヘキサエン酸)で、これも血液凝固をおさえる作用があります。

マグロ(特に目)やブリ、サバ、ウナギなどに多く含まれます。これに対して獣肉の脂肪は、トロンボキサンをたくさん作り、粥状硬化を促すだけでなく、血液の凝固性を高めますから、血管内で血液が固まりやすくなり、血栓症をひきおこす危険性をもっているということになります。それでは、「獣肉の脂肪はコレステロールの問題だけでなく、いろいろないたずらをするから、多価不飽和脂肪酸の多い植物油や魚の油が安全だ」と考える人も多いことでしょう。

ところがこの多価不飽和脂肪酸が多すぎると、またやっかいなことがおこります。多価不飽和脂肪酸は実に不安定な存在で、脂肪の過酸化物を作りやすいのです。これが老化現象に拍車をかけることは古くから知られていますが、また同時に粥状硬化の発生にも一役買っているほか、発がん物質の作用を強める作用ももっているというありさまです。

このためWHOでは、多価不飽和脂肪酸は総熱量の10%におさえるようにと警告しています。ところで、コルフ島やクレタ島に住むギリシャの人が動脈硬化にもかかりにくいし、がんにもかかりにくいというのは有名です。
これは彼らが浴びるほど使うオリーブ油に理由があるのではないかと考、えられていますが、このオリーブ油の主成分は一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。

では一価不飽和脂叩肪酸ならからだによいのかというと、必ずしもそうではないのです。エルカ酸という一価不飽和脂肪酸は心臓の筋肉を傷める作用をもっています。これはナタネ油に多量含まれていますので、WHO では「ナタネ油を食用とするとき、低エルカ酸油を使うか、ほかの抽と混ぜて使うように」と勧告しています。

脂肪の上手な摂り方

以同じ脂肪といっても、一方に偏りすぎるといろいろな問題がおこります。国民栄養調査に基づいて脂肪摂取の比率を次のように定めています。

  • 望ましい脂質エネルギー比率は、総摂取エネルギーの20~25%
  • 飽和:一価不飽和:多価不飽和=3:4:3
  • n-6:n-3=4:1

たんぱく質

たんぱく質が不足すると脳卒中の原因になる

実験用のネズミとして、高血圧自然発症ラット、脳卒中易発症ラットと呼ばれるネズミを作り出しました。これらのネズミは遺伝素因が強いため、ほうっておいてもほとんどがが高血圧になります。

アメリカの研究者がこのネズミを本国へ持ち帰り、いぎ実験を始めてみると、思うように血圧は上がってこないし、脳卒中にもならないという結果が出ました。

日本では血圧が上がるのに、なぜアメリカでは血圧が上がらないのえさかというと、実は餌の成分に違いがあったのです。日本もアメリカも、塩の量は同じだったのですが、たんばく質の含有量がアメリカの餌のほうが格段と多かったのです。

また、脳卒中の多い農村と脳卒中の少ない魚村とを比較すると、魚村のほうが尿中に多くの無機硫酸を含んでいることが調査されました。この理由は、魚村のA食事には魚介類が多いことにあるのですが、これは、たんばく質をきちんととっていると、血管が丈夫になり、脳卒中になりにくいという1つの暗示です。

高タンパクは食塩の害も減らす

もうひとつの重要な研究があります。これは、高血圧の家族歴をもっているが現在のところは正常血圧である群と、高血圧や脳卒中の家族歴をもたない正常血圧群について、それぞれ1日25gずつの食塩を摂取させたものです。そうすると、高血圧の素因をもっている群の血圧ははっきり上昇したのですが、素因をもっていない群の血圧はほとんど上がりませんでした。
ここでいったん減塩食に戻しておいて、素因をもつ人たちに、1日25gの食塩摂取を再び行いましたが、今度は動物性たんばく質を40gから110gに増加してみたのです。すると、前は血圧が上がったのに、今度はあまり上がらないという結果が出ました。そして尿中へナトリウムがどんどん排泄されていることが確かめられました。つまり動物性たんばく質は、ナトリウム排…泄を促進する作用があり、これが食塩の悪影響を打ち消したのだということがわかったのです。

「日本人の栄養所要量」によると、成人では中等度の活動の際、男性で70g、女性で60gのたんばく質が必要です。そして動物性と植物性を約半々の割合でとることが疾病予防の上でたいせつだと提言をしでいます。
魚、大豆、野菜、海藻を積極的に摂る | 心臓病の基礎知識
かつて脳卒中が多発した農村では、動物性たんばく質の摂取が少なめでした。現在では食生活が改善されて増加傾向にあります。米どころに住む人たちは、どうしても食塩過多になりがちですから、塩分の害を防ぐ動物性たんばく質を積極的にとりましょう。

動物性と植物性の違い

たんばく質というと、アミノ酸がたくさん結合して構成されたものですが、このうち、血圧を下げ、脳卒中を予防する作用が強いアミノ酸というと、メチオニン、リジン、プロリン、タウリンといったところです。特に魚のたんばく質はこの効果が強いといわれていますが、最近ブームになっている大豆のたんばく質には、血圧を下げる力がほとんどありません。

この二つのたんばく質の違いはどこにあるかというと、魚がもっているメチオニンというアミノ酸が大豆にはほとんどないのです。これは大豆に限った話ではなく、植物性たんばく質全般にいえることで、メチオニンをほとんど含んでいないのです。高血圧と脳卒中を予防する意味では、特に動物性たんばく質が重要だということがおわかりいただけたと思います。

それでは動物性たんばく質はできるだけ多くとればよいのかというと、これまた早計なのです。というのは、動物性たんばく質は、動物実験上、粥状硬化症を促すことが古くからわかっているからです。

これに対して植物性たんばく質は、粥状硬化症の発生には関係ないとされています。それどころか、大豆を食べるとコレステロール低下に効果があります。
大豆たんばく質がコレステロール値を下げる作用は、アミノ酸構成というより、アルギニンというアミノ酸が関係しているのではないかと考えられています。

たんぱく質の上手な摂り方

動物性たんばく質と植物性たんばく質を半々にとるのが理想です。植物性では、量のわりにたんばく質が多いのは大豆です。ご飯は1日軽く3杯でたんばく質は21gになりますが、豆腐だと3分の1丁で9gのたんばく質がとれるのです。
野菜は1日少なくても300gとることがすすめられますが、これだけで5gのたんばく質が含まれます。くだものはたんばく質は含まれません。

動物性たんばく質として1日に必要な目安は、切り身の魚を1切れ89g、獣鳥肉60g、卵1個、牛乳1本というところで、これで動物性たんばく質33gになります。
以上は、糖尿病の基礎食(1200kcal)と同じです。

人間が生きていくために必要かつ最低のエネルギーは1200kcalです。これは、標準体重60kgの人が、ただ横になってじっとしているとき(1kg当たり20kcal消費する)の1日の必要エネルギー量と同じ理想的な栄養配分例です。そして、たんばく質をはじめ、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなど、最低必要な栄養素が完全に組み込まれているのが下表で、糖尿病の基礎食と呼ばれているものです。

降圧剤の前にカリウムをしっかり摂る 薬の前にまだやれることがある

できるだけ食品の力で下げる

自然のままの食生活を営んでいる未開の原住民が、食塩をほとんどとらず、血圧も高くならないことはよく知られています。
南米アマゾンの秘境に住むヤノマモインディアンは、Ⅰ日にとる食塩量がわずか0.1gということです。
それだけでも彼らが絶対に高血圧にかからない理由がわかりますが、さらに驚くべきことに、カリウムを8gもとっているのです。

日本人のカリウム摂取量は国際的にも少ないと有名ですが、平均して 2gそこそこです。つまり彼らは日本人の4倍ものカリウムをとっているのです。
これが高血圧発生をゼロにしているもう1つの理由です。

つまりカリウムは、少なくとも1日に2.5g、理想をいえば1日3gはとりたいものです。ただ薬物としてカリウムを補給しても、この場合は細胞の中へ入りにくく、いったん入ってもすぐ細胞外へ出されてしまうといわれています。

いちばんよい方法は、食べ物に自然に含まれているかたちで、食事としてとることなのです。カリウムの多い食品は、基本的に栄養価の高いものばかりです。

高血圧患者におすすめのカリウム食品

ところでカリウムは肉類にたくさん含まれていますが、高血圧に有害なナトリウムとの関連で考えると、カリウム/ナトリウム比が大きいものほど理にかなっているのです。
この意味では肉類のナトリウム含有量はかなり多いので、利用価値がありません。ただここで困ることは、食べ物に含まれるカリウムやナトリウムの量が分析表の違いによりまちまちな点です。これは同種の野菜やくだものでも、風土や土壌の違いによってミネラルの含有量も違ってくるからです。
それからもう1つやっかいなことは、カリウムを多く含んだ食べ物も、ゆでたり煮たりして調理すると、かなりの量のカリウムが失われてしまうことです。ナスやキュウリなども、輪切りにして水洗いすると、カリウムはほとんど失われてしまいます。

ということは、生のまま食べられるくだものや野菜(キャベツ、レタス、パセリなど) が好ましいということになります。それも新鮮なものがすすめられます。
トマトやオレンジなどもそのまま食べるか、フレッシュジュースにするのならカリウムが豊富に含まれていますが、缶詰めとか缶入りのジュースになったものには、カリウムはほとんど入っていません。

おまけに缶入りのトマトジュースの多くはナトリウムが多量に含まれますから、カリウム補給の点では感心できない食品です。
トマトの降圧成分と血圧を下げる作用が強力な酢の成分を使ったトクホもあります。

豆類もカリウムが多く含まれていますが、調理するとき、カリウムが溶け出した煮汁を捨てない工夫がたいせつです。芋類なども同様です。

カリウムを多く含んだ食品も、ゆでたり煮たりして調理すると、かなりの量のカリウムが失われます。カリウムの補給を第一に考えるのであれば、できるだけ生で食べられる葉菜類かくだものをおすすめします。

ただし、カリウムは摂取しても尿や便と一緒に塩分を排泄する際に流れてしまいますから、毎日摂らなければ意味がありません。
青汁などを飲むのはとてもいいことです。
リッチグリーンはこちら。

必須ミネラル「カリウム」

カリウムが必要な理由

カリウムに血圧を下げる働きがあることがわかったのは、もう50年以上も前のことです。そして血圧を下げる薬がまだなかった時代に、どうしようもない高血圧が、ご飯とくだものだけの食事でみごとに下がったという例も報告されました。

この降圧のしくみは、実は低ナトリウム、高カリウムの食事にあったのです。ところで、食塩をとりすぎる日本人にとって重要な降圧薬というと利尿降圧薬です。

これは、体内のナトリウムを腎臓から尿中へ追い出す作用をもっており、そのことによって血管壁のナトリウムを減らし、細動脈の抵抗が減るので血圧が下がるわけです。
ところが利尿降圧薬を長期間使っていると、使用量が多すぎるわけでもないのに、体内のカリウムが減っていきます。これは、ナトリウムが排泄されるとき、カリウムもいっしょに連れ出すからですが、その理由の1一つには、アルドステロンというホルモンが体内でふえるためです。

いずれにせよ体内のカリウムが欠乏すると、糖尿病や心筋棟塞が発生しやすいことが知られています。したがって、利尿降圧薬を使っているときは、定期的に血液中のカリウム濃度をしらべていく必要があるわけです。

カリウムの効果

血圧が高い人に積極的にカリウムを補給することは、血圧を下げる意味でも、利尿降圧薬の副作用を防ぐという意味でも有用で、まさに一石二鳥です。

ところで動物実験で、餌のなかにカリウムをふやすと高血圧になりにくいという例はいくつもありますが、日本の疫学調査で、食生活習慣上、ナトリウム・カリウム比が小さい人たちの血圧値は低く、この比率が大きくなるほど血圧値が高くなるということがわかっています。

では実際に、血圧が高い人にカリウムを補給すると有効なのでしょうか。この点については、興味深いデータがあります。カリウムを添加した調味料(食塩、みそ、しようゆ)を4週間にわたって使用した実験で、使用した直後に最大血圧、最小血圧ともにみごとに下がっています。そして使用を中止したとたん、どちらの血圧もはね上がっているのです。

つまり、カリウムの補給は、血圧降下に有効というわけです。なお、カリウムという電解質は、体内にたまりすぎると有害ですが、腎臓が正常に働いているかぎり、とりすぎたカリウムは尿中へどんどん排泄され、体内にたまりすぎることはないということが、実験で証明されています。そしてこの間、尿中へのナトリウム排泄も増加しています。

ただしナトリウムは、生体に重要な電解質なので、その急激な減少は、生体内の防御機構によって抑制されています。カリウムの降圧作用は、ナトリウム排泄のためだけではなく、レニン(血圧を上げるアンジンオテンシンという物質を作る働きがある)分泌の抑制や、昇庄物質に対する血管の反応性をおさえるところにも理由があるようです。

ダイエットを成功させるポイントがある

熱量をとるより使うことを考える

肥満とは、からだに余分な脂肪がついた状態をですが、これは、消費熱量を上回る熱量をとった結果、脂肪として蓄えられた状態です。
つまり、からだにつきすぎた脂肪を減らすには、消費熱量が摂取熱量を上回るように工夫すればよいのです。このようにひと口にいってしまえばいたって簡単なことが、なぜ思うようにいかないのでしょうか。
それは人間が、空腹でないのに食欲を覚えるためであり、また、お金さえあればからだを動かさなくても食べ物が手に入る文明社会にあるからです。したがって、ダイエットを成功させるためには、食事(摂取熱量)と、仕事や運動(消費熱量)を常に念頭に入れて、自分でコントロールするしかないのです。

いくら太っている人でも、それは脂肪が多いということであって、ビタミンやミネラルまで多いわけではありません。まして自分の体内で合成できない栄養素、たとえば必須アミノ酸や必須脂肪酸、ビタミンなどは、毎日きちんととる必要があります。これらを補給しないでいると、健康を害してしまいます。

間違ったダイエット法

まちがいやすいのは熱量に関する問題です。たとえば、「ご飯は太るからパンに変える」とか、「うどんは太るけれど、そばなら安心だ」という考え方です。実はどちらも同じ熱量なのです。食事の回数にしても、1日に2回となるとかえって太ります。

これは、おなかが減っているのでつい食べすぎてしまうという意味ではなく、おそら〈1日に1回とか2回しか食べ物が口から入ってこないときは、とったエネルギー源を無駄にすることなくからだの構成に利用して、効率よく肥満の条件を生み出すしくみになっているのでしょう。したがって、朝食や昼食を抜くのはかえって損です。

健康的に痩せるために!

  • 標準体重を調べ1日の必要熱量を調べる
    標準体重1kgにつき、30kcal
  • たんぱく質
    体重1kgにつき1gは必要
  • 脂肪
    全摂取エネルギーの20~25% とし、これを超えないようにする。日本人は現在上限の25%を超えているので要注意。油脂類のほか、肉、魚介、豆、卵、穀類、乳類などに含まれる「見えない脂質」にも気をつける
  • ビタミン・ミネラル
    有色野菜200gと牛乳l本分
  • 糖質
    エネルギー源としての働きをもっているために、肥満の仕掛け人として忌み嫌われがち。ただし糖質を極端に減らすと、体内の新陳代謝が乱れ、脂肪の不完全燃焼で酸血症がおこったり、たんばく質まで燃焼しはじめて高尿酸血症がおこる。このため、l 日に最低150gは必要(ご飯l杯で糖質は50g)

食べ過ぎを防ぐポイントなども大事。

ダイエットで下がる血圧

高血圧で太っていると危険

血圧が高くて太っている人は、高血圧でも太っていない人や、太っていても血圧が高くない人に比べると、心筋梗塞にかかりやすいことが知られています。
また、若いころ標準体重であった場合、成人になっても標準体重のままであれば高血圧になりにくいのに、成人期に太ってくる人は、4~5倍も多く高血圧になることが確認されています。

このことは、特に高血圧の遺伝素因をもっている人の場合は、太ると高血圧になる宿命を背負っていることを教えています。また、実際に高血圧の治療に際しても、降庄薬治療がはかばかしくない背景として、肥満がわぎわいしている例が少なくありません。事実、肥満を是正することにより降庄に成功する例は欧米でも日本でも経験されています。

痩せたほうがいい理由

「太っていても、薬で血圧が下がっていれば、なにもやせる必要はないのではないか」と思われるかもしれません。しかしこれは御都合主義の考え方です。とにかく太っている高血圧患者は、まずやせる必要があります。その理由は次のとおりです。

  1. いくら医師が薬の副作用に気をつけてくれているからといっても、ほんとうは薬を使わないで血圧を下げたほうが、副作用の心配は全然いらないこと。薬を使わずに血圧を調整できれば最適。
  2. 太っていること自体が心臓に負担をかけるだけではなく、体内にたまった食塩が排泄されにくくなる。そのうえ日ごろの運動不足も手伝って、肉体的・精神的ストレスが加わると、血圧が不慮に上昇しやすいこと。もし脳や心臓の動脈碩化がある程度進んでいた場合は、この不慮の血圧上昇で脳卒中や心筋梗塞をひきおこす危険がある。
  3. 太ると血液中の総コレステロール、中性脂肪をはじめ、血糖値や尿酸値が増加し、善玉といわれているHDLコレステロールは減ってくること
    HDL悪玉(LDL)と善玉(HDL)はこちら。これらはすべて心筋梗塞の発症要因ですから、単純に、降庄薬で血圧を下げておけばよいというわけにはいかないのです。たとえ現在、血液のこういった成分が正常であったにせよ、降圧薬のなかには、これらを増悪させる副作用が潜んでいる場合がありますから、油断はできません。

血液中の中性脂肪がふえると、動脈硬化が促進します。そのうえ、コレステロールのなかでも動脈硬化を進みにくくするHDLコレステロールが減るとなっては、ますますハイスピードで動脈硬化が進行してしまいます。
高コレステロール血症は、粥状硬化を促進する危険国子で、心筋梗塞の発症と密接な関係があります。同じ超肥満者でも、農山村に高コレステロール血症が少ないのは、植物性食品(主に穀類)を多食しているからです。コレステロール値が低いといっても、太っていること自体、心臓に負担がかかるので、心臓の悪い人はやせなければいけません。
30~40代ならこちらのダイエット情報がおすすめです。

塩分含有量

「食塩の制限」イコール「塩からいものは避ければよい」と単純に考える人が多いので困ります。実は食べ物に含まれる食塩量と塩からさは別なのです。

たとえば塩と同量の砂糖が入ると塩からさが消えてしまいます。すし飯やうどんのつゆがよい例です。人の舌感覚では、塩の量ははかれないのです。

梅干しのしょっぱさは食塩よりクエン酸のせいであり、生タラコ腹は梅干し2個分の食塩を含んでいることなど、隠された昧の正体を知ってください。

主食

漬け物

調味料
  • 食パン60g(0.78g)
  • ゆでうどん1玉210g(0.6g)
  • 即席ラーメン(揚げ)93 g/1袋)(5.2g)
  • コーンフレーク(小l 箱)24g(0.5g)
  • 奈良漬け2切れ/20g(0.9g)
  • 福神づけ大さじ1/12g(0.6g)
  • わさびづけ18g(大さじ1(0.5g)
  • 紅しょうが(小1本)10g(0.7g)
  • トマトケチャップ大さじ1(0.6g)
  • マヨネーズ(全卵型)大さじ1/14g(0.3g)
  • ドレッシング(和風)(大さじ1)15g(1.1g)
  • バター(大さじ1)13g(0.2g)

減塩対策2

減塩に成功した秋田県の実例

秋田県というと、全国で1、2を争う高血圧、脳卒中の多発県であり、その背景に習慣的な食塩の過剰摂取があったことは有名です。
ところでこの汚名を挽回するために、秋田県ではかつて、徹底的な減塩キャンペーンがすすめられ、効果をあげました。このための具体的な方策の1つとして「牛乳を食べましょう」というスローガンがかかげられています。

日本人の塩のとりすぎは、ご飯に塩からいおかずが原因です。つまり、米のご飯にみそ汁、つけ物、そのうえにタラコ、スジコが添えられると、ご飯と塩からいものとの相性がよいばっかりに、つい「もう1杯」と、おかわりをしてしまいます。ある調査によれば、ご飯が1杯、増えると、塩分の摂取量は5gも、増えてしまうそうです。このように、熱量の大半をご飯でまかなう食生活では、食塩過多はどうしてもつきものの現象だったのです。

そこで牛乳を飲むだけではなく、料理にも利用しようと働きかけたわけですが、これは栄養のバランスがとれるというだけではなく、食塩のとりすぎも是正され、まさに一石二鳥なのです。

牛乳のメリット

牛乳や乳製品をたくさんとっている地区では、脳出血の発生や胃がんの死亡率が少ないということが、ずいぶん前に日本で調査ずみですが、牛乳・乳製品のとり方と食塩のとり方と対比してみると、互いに逆の関係になっているのです。

つまり、牛乳や乳製品をたくさんとっている地区では、食塩のとり方が少ないということなのです。ただここで、同じグラム数でも牛乳とバターでは熱量も脂肪量も違うのではないかという考えがおこります。
それはそのとおりですが、日本人のバターのとり方はきわめて少なく、1日平均0.9gということですから、牛乳・乳製品といっても、これは主として牛乳とみてよいでしょう。

群馬県の例

群馬県では脳卒中が全国でワーストテンに入るほど多発していたのですが、同じ群馬県にあっても、牛乳・乳製品を多くとる伊勢崎市は脳出血の発生が全国平均をかなり下回っていました。その1つの理由はこんなところにあるのかもしれません。

牛乳や乳製品というと、ついパン食を想像しがちですが、必ずしもそうではありません。牛乳がゆとしたり、ご飯にバターをのせて食べることもできます。ニラやもやしのバターいためにしても、バター本来の風味と含まれてる塩だけで上手に味がつきます。このように和風の食事に乳製品を加えると、こくが出ておいしく食べられますから、つけ物など塩からいものへの要求はなくなるわけです。