必須ミネラル「カリウム」

カリウムが必要な理由

カリウムに血圧を下げる働きがあることがわかったのは、もう50年以上も前のことです。そして血圧を下げる薬がまだなかった時代に、どうしようもない高血圧が、ご飯とくだものだけの食事でみごとに下がったという例も報告されました。

この降圧のしくみは、実は低ナトリウム、高カリウムの食事にあったのです。ところで、食塩をとりすぎる日本人にとって重要な降圧薬というと利尿降圧薬です。

これは、体内のナトリウムを腎臓から尿中へ追い出す作用をもっており、そのことによって血管壁のナトリウムを減らし、細動脈の抵抗が減るので血圧が下がるわけです。
ところが利尿降圧薬を長期間使っていると、使用量が多すぎるわけでもないのに、体内のカリウムが減っていきます。これは、ナトリウムが排泄されるとき、カリウムもいっしょに連れ出すからですが、その理由の1一つには、アルドステロンというホルモンが体内でふえるためです。

いずれにせよ体内のカリウムが欠乏すると、糖尿病や心筋棟塞が発生しやすいことが知られています。したがって、利尿降圧薬を使っているときは、定期的に血液中のカリウム濃度をしらべていく必要があるわけです。

カリウムの効果

血圧が高い人に積極的にカリウムを補給することは、血圧を下げる意味でも、利尿降圧薬の副作用を防ぐという意味でも有用で、まさに一石二鳥です。

ところで動物実験で、餌のなかにカリウムをふやすと高血圧になりにくいという例はいくつもありますが、日本の疫学調査で、食生活習慣上、ナトリウム・カリウム比が小さい人たちの血圧値は低く、この比率が大きくなるほど血圧値が高くなるということがわかっています。

では実際に、血圧が高い人にカリウムを補給すると有効なのでしょうか。この点については、興味深いデータがあります。カリウムを添加した調味料(食塩、みそ、しようゆ)を4週間にわたって使用した実験で、使用した直後に最大血圧、最小血圧ともにみごとに下がっています。そして使用を中止したとたん、どちらの血圧もはね上がっているのです。

つまり、カリウムの補給は、血圧降下に有効というわけです。なお、カリウムという電解質は、体内にたまりすぎると有害ですが、腎臓が正常に働いているかぎり、とりすぎたカリウムは尿中へどんどん排泄され、体内にたまりすぎることはないということが、実験で証明されています。そしてこの間、尿中へのナトリウム排泄も増加しています。

ただしナトリウムは、生体に重要な電解質なので、その急激な減少は、生体内の防御機構によって抑制されています。カリウムの降圧作用は、ナトリウム排泄のためだけではなく、レニン(血圧を上げるアンジンオテンシンという物質を作る働きがある)分泌の抑制や、昇庄物質に対する血管の反応性をおさえるところにも理由があるようです。

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