合併症その2

高血圧+高栄養は注意

高血圧によりひきおこされる心臓病は、心筋梗塞だけではありません。急性心臓死や、狭心症、急性慢性心不全など、いろいろの心臓病があります。血圧が高いとき、こういう病気の発生が正常血圧の人の2倍以上もおこることがわかっています。
元来、心筋梗塞で代表される冠状動脈硬化症は、栄養がよすぎる欧米で高率に発生するものの、かつての日本のように栄養が悪い国ではあまり発生しません。

現時点の日本では、生活水準と生活習慣が微妙にからみ合って、同じ日本人でありながらその人の栄養状態はまちまちです。このごろ、太っている人がふえてはきましたが、動物性食品のとりすぎで太っている人は別として、穀類やイモ類のとりすぎと運動不足のために太った人の栄養は思ったほどよくないのです。たとえば地域の農山村にあっては、太っているのに血清総コレステロール値はむしろ低いというケースがまれならずみられます。

このような栄養背景におかれた日本の地域集団では、心筋梗塞の発生があまり多くないのが実態ですから、古い日本の地域調査では、心筋梗塞の疫学成績が十分そろっていませんでした。

しかし現在では、血清総コレステロール値が高いということは、高血圧と相まって心筋梗塞の危険因子として重要視されています。そして、血圧値が上がるほど、またコレステロール値がふえるほど、心筋梗塞や急性心臓死も増加することがわかっています。

その他の危険因子

さらに、血圧とコレステロールだけでなく、タバコ、左心室肥大、糖尿病、高齢という別の危険因子をもっている場合には、かなりの高率で心臓病にかかることがわかっています。
要するに、血圧がたいして高くないから自分は心筋梗塞の心配がないといばっていられたのは昔のことで、今の日本で栄養がよすぎる人は、コレステロール値も高めだし、糖尿病を合併している可能性も大きいので、血圧がたかだか140mmHg程度でも、心筋梗塞をおこす危険があるということです。

高血圧の人は、正常血圧の人より、2倍以上も心臓病にかかる率が高くなっています。つまり、それだけ心臓に負担がかかっているのです。

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