血圧は、数値がどの値に達したら高血圧と呼ぶのかは、日本でには定めた基準があります。これは、世界的に採用されているWHO (世界保健機関)とISH(国際高血圧学会)によるガイドラインに準じています。
これまでWHOは、疫学調査用に最大血圧が160mmHg以上、もしくは最小血圧が95mmHg以上であれば「高血圧」と分類、定義していました。
それが、1999年に新ガイドラインを発表しました。新しい基準では、最大血庄140mmHg以上、あるいは最小血圧90mmHg以上の場合を「高血圧」と定義しています。
さらに高血圧を重症度によって5つのグレードに分類しているのも大きな特徴です。目安は、以下のとおりです。
分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 |
Ⅲ度高血圧 | 180以上 | 110以上 |
Ⅱ度高血圧 | 160~179 | 100~109 |
Ⅰ度高血圧 | 140~159 | 90~99 |
正常高血圧 | 130~139 | 85~89 |
至適血圧 | 130未満 | 85未満 |
120mmHg未満なら安心
高血圧の定義が従来より低く設定されたのは、アメリカが実施した大がかりな疫学調査に基づいています。これは「ミスターフィクト」と呼ばれるもので、36万人の男性を12年間追跡して、血圧と脳・心臓血管障害の関係や死亡率を調べたものです。
この結果、最大血圧が120mmHg、最小血圧が80mmHg以上になると、脳卒中や心筋梗塞の発症率が徐々に増加することが判明しました。このため、この値より下を「至適血圧」としたのは前述のとおりで、「血圧は低いほど脳や心臓疾患のリスクも少ない」ということから、低い血圧を保つことをめざしています。
近年、食生活が欧米人並みになった日本でも同様に追跡調査がなされ、アメリカと同様の結果が出ました。つまり、最大が120mmHg未満、最小が80mmHg未満であれば、心臓・血管病死のリスクが最も低く、最大140mmHg以上、最小90mmHg以上であればリスクが高くなることがわかりました。そこで、W H O とI S H が定めたガイドラインに準じて、右ページに示した表のうち境界域を除いたものを「日本の血圧分類」として初めて発表しました。
なお、脳動脈や冠状動脈の病変をひきおこす因子は、単に高い血圧だけではありません。年齢、性、遺伝の違いはもとより、糖尿病、血清脂肪の異常をはじめとし、たくさんの因子が複合的にからみ合っているので、正常血圧でも{女仝というわけではありません。
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