食物繊維がすばらしい理由
食物繊維の重要性が叫ばれてだいぶ経過しました。現代人にその重要性は伝わったのでしょうか?、中央アフリカに住む原住民が大腸がんにかからないのは、たくさん食物繊維をとるおかげで、腸内で細菌が作り出した発がん物質が洗い流されてしまうからしいという考え方が動物実験で確認されたのは、20年も前のことです。
また食物繊維が、血液中にふえすぎたコレステロール値を下げる働きをもっていることは、もっと前からわかっています。食物繊維というと野菜に多いと誰もが知っていますが、ひと口に食物繊維といっても、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナンといろいろあります。
ところで、食物繊推がなぜコレステロール値を下げるのかというと、腸の中で胆汁酸を吸着して便といっしょに排泄させてしまうことに理由があります。胆汁酸は脂肪の消化を助けるために胆のうから出てきますが、目的を達したあとは、小腸の末端部で完全に再吸収され、肝臓へ戻り再び利用されます。
戦後まもないころは、1日に20g近く食物繊維をとっていましたが、食物繊維が多いと胆汁酸が再吸収されずに、どんどん失われてしまいます。そこで胆汁酸を減らさないために、体内で生産されているコレステロールが次々と胆汁酸に変わっていくのです。
ところが、最近の食生活は、7分づきのご飯が白米になっており、パンというと精製した小麦粉でル作ってあり、イモやインゲンの煮物はいなか料理とバカにして食べないというありさまですから、食物繊維の摂取量はかなり減りました。
ここ10数年はおよそ16gで推移しています。これでは胆汁酸が足りなくなることはないので、1日に500mg~1000mg生産されているコレステロールは使われようがなく、どんどん血液中に、増えていくというわけです。
実際に日本では、ふだんコレステロールや脂肪を摂りすぎてもいないのに血清総コレステロールが異常にふえてしまっている人が急増しています。
この原因こそ実は食物繊維不足なのです。1日20~25gを目標に摂取したいものです。コレステロールを確実に下げる薬は世界中のどの国にもなく、日常の食事をしらべても脂肪やコレステロールのとりすぎはないし、ほとほと困ったのですが、グルコマンナンという食物繊維をたっぶりもっているコンニャク精粉をためしに飲んでみたところ、血清総コレステロールはみごとに下がりました。
もう1つの食物繊維の効果は、糖尿病の予防と治療です。
食物繊維の多い食べ物をとると、胃内停滞時間が長くなり、その結果、食べ物を腸へ少しずつしか送り込めません。このことは、血液中のブドウ糖が急速に上昇するのを防ぐという意義をもっているのです。また、海藻類はアルギン酸という食物繊維をいっぱい含んでいます。このアルギン酸は、腸の中でナトリウムを吸着して便といっしょに排泄されますが、これによって血圧が下がったという成績が知られています。
なお食物繊維は、鉄、鋼、亜鉛といった健康にたいせつな微量元素を吸着し、腸での吸収を妨げるという悪い面をもっています。その意味では、食物繊維を薬としてのむのではなく、自然の食事としてとるのがよいのです。
どんな食物繊維がいいか
野菜はおおぎっばにいって食物繊維を1%含んでいます。しかしキャベツだけで10gの食物繊維をとろうとすると、1kgも食べなければなりません。
野菜や葉は煮たりゆでたりすれば食べやすくなりますから、おひたしや鍋物にするとよいでしょう。なにも野菜だけで食物繊維をとらなくてもよいのです。くだものにはペクチンというりっばな食物繊維が含まれています。
なかでもリンゴは、2~5%もの大量のペクチンを含んでいます。皮の内側に多いので、皮ごと食べることです。そのほかインゲン、トウモロコシ、イモ類なども積極的にとるといいでしょう。
こんな食習慣はNG、コレステロール値を下げる4つの食習慣は特にNGですので注意します。
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