初めのチェック
1回や2回の血圧測定で高血圧であったとしても、それだけでほんとうの高血圧と決めつけるわけにはいきません。血圧が高い場合には、まず詳しい問診や診察と、血圧測定のくり返しによって、ふだんの血圧も高いのかどうか(真の高血圧かどうか)をチェックする必要があります。
それと同時に、高血圧であるなら、それが本態性高血圧なのか、二次性高血圧なのかの鑑別も重要です。診断を確定するにはほんとうの高血圧と判断された場合は、次に、簡単なスクリーニング検査が行われます。
これは、高血圧自体による血管障害の程度を把握する目的と、二次性高血圧の手がかりをつかむ目的を兼ねています。これで二次性高血圧の疑いが濃厚な場合は、確定診断のための精密検査が行われます。また本態性高血圧と診断された場合には、高血圧による脳卒中や心筋梗塞の発生に拍車をかける合併症の有無、程度を把握する検査が行われます。
なお、降圧薬治療を続けている最中にも検査が行われますが、これは、降圧薬の副作用チェックのためと、高血圧による血管障害と臓器障害の進行程度を観測するためです。
問診がたいせつな診断上の手がかりになる
- 高血圧と心血管疾患の家族歴
- 心血管疾患、脳血管疾患、腎疾患あるいは糖尿病の既往歴
- に行った降圧治療の効果と副作用
- 血圧に影響を与える薬(たとえば経口避妊剤)の使用
- 体重の増加度、食塩やアルコールのとり方
- 二次性高血圧を疑わせる症状(脱力感、多尿、頭痛、多毛など)
- 血圧のコントロールに影響を与えると考えられる社会心理学的因子と環境因子(つまり精神的ストレス、食習慣および経済状態)
- その他、心血管危険因子(肥満、喫煙、高脂血症および耐糖能の低下など)
診断確定のための検査
- 臥位あるいは坐位、および立位における2回以上の血圧の測定
- 反対側の腕での血圧の確認、下肢の血圧の測定
- 身長と体重の測定(ときに皮厚測定を行う)
- 眼底検査を行い、細動脈狭窄、動静脈交叉現象、出血、溶出液およびうっ血乳頭の有無を確認
- 頸動脈血管雑音の聴取、静脈怒張および甲状腺腫大の確認
- 心拍数、心臓の大きさ、前胸部拍動、心雑書、不整脈
- 腹部における血管雑音の有無、腎臓の腫大および大動脈の拡張
- 四肢における、末梢動脈拍動の減弱ないし消失および浮腫
- 神経内科学的検査