寒冷

高血圧の敵「寒さ」

個人個人の血圧は、高い人もあり低い人もありますが、同じ人でも、血圧は夏に低く冬に高いものです。仕組みは、冬期は皮膚が寒冷刺激にさらされるからです。もともと皮膚が刺激を受けると、交感神経が興奮して血圧を上げるのですが、この刺激は、疼痛でも、熱湯でも、寒冷でも変わりがありません。
しかし冬は、急に寒い環境にさらされやすいので要注意です。

寒さのために末梢血管が収縮し、血管の抵抗が大きくなって、血圧が上がってしまうのです。それと同時に、血液の凝固性も高まりますから、脳や心臓の事故はどうしても冬におこりがちとなります。

寒さから身を守るポイント

部屋全体を温め適温に
冬は、部屋全体を20度前後に暖めるように工夫しますよく、コタツだけで身を縮めている人がいますが、これでは下半身だけしか暖まらず、上半身は冷えきった環境におかれているのです。
このため肩や首すじの血液循環が悪くなり、肩がこったり、頭痛がおこったりしがちです。部屋の温度が奪われるのは窓と床面ですから、窓にはカーテンを二重に引き、床面はふかふかのじゅうたんを敷くとよいでしょう。
これは熟の不良導体である空気の層で、保温効果を高めるためです。なお、私たちのからだは急激な五度以上の温度差に弱いので、冷えきった廊下などに出るときは、全身の保温に十分注意し、子供のように素足で廊下を歩くような無精なまねはしないことです。
外出のときは、防寒を心がける
特に体温が奪われやすいのは胴体です。ふだん露出している顔面や指先などは、皮膚温が低いのですが、胴体の皮膚温は高いので外気温との差が大きく、それだけ幅射熟として体温が逃げやすいものです。したがって外出のときは、面倒がらずに、重ね着で空気の層を幾重にもつくるなり、防寒に気を配りましょう。
特に胴体に近い首すじや大腿部をカバーしないと、からだはすぐ冷えきってしまいます。ふだん露出になれている手先も、酷寒の際は手袋をし、また、マフラーの着用を忘れてはいけません。それから、冷たい空気を吸っただけで冠状動脈が収縮することも知られていますから、特にこがらしの季節には、マスクがたいせつです。
なお、飲酒後は、皮膚の血管が開いて皮膚温が高まっていますから、それだけ体温は奪われやすくなっています。宴会からの帰宅時には特に防寒を心がけます。
洗面はお湯で
4度の水に手を突っ込んで、どのくらい血圧が上がるかをみる寒冷昇庄試験という検査があります。これによると、ふだん血圧が高い人は、正常血圧の人より著しく血圧が上昇します。
特に寒い冬の洗面や食器洗い、ぞうきんがけなどは十分に注意してください。冷たいのをがまんして水を使うと、血圧は30~40mmHgも上がります。しかもこの血圧上昇は急激ですから、脳や心臓の動脈硬化を合併している場合は、危険きわまりないのです。

できれば夜の排尿は溲瓶で行う
せっかく熟睡して、血圧も落ち着いていたのに、尿意を催して目がさめることがあります。ふだん血圧が高くない人でも、年をとると腎臓機能が低下しますから、昼はあまり尿が出ないのに、夜間安静にしていると、腎臓の機能が活発になってきて、どうしても1~2度は起きるようになるものです。これが夏なら話は別ですが、冬で家屋がいちばん冷えきっている時刻に、トイレに起き出すというのは、血圧の揺さぶりで事故をおこす原因となりかねません。
また、男性の場合は、排尿で急激な血圧低下をおこすこともあり、これがとで脳血栓をおこしたり、失神したりすることもあります。ですから、冬の夜間の排尿は、シビンを使うのが安全です。これを面倒くさがっていると、綱渡りと同じで、いずれ事故をおこしましょう。

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