食事のタブー

高血圧を正しく治療するうえで、食事は非常に重要な意味をもっています。その理由の第一は、私たち日本人が食塩をとりすぎる食習慣にあり、これをなんとかしないことには高血圧の害に拍車をかけるということです。

第二の理由は、高血圧の場合、栄養よすぎると心筋梗塞をおこし、また逆に栄養が悪いと脳卒中がおこるというぐあいに、栄養のバランスが実にむずかしく、その人の病状に応じて工夫する必要があるのです。次に示したのは、うっかりまちがいやすい食べ方です。思いあたるふしがあったら、すぐにでも改善します。

空腹が満たされればOK

栄養をとるという意味と満腹するという意味は別問題です。好物ばかりを食べて空腹を満たしたとしても、これは単に熱量が補給されたというだけで、からだの構成や代謝に必要な栄養成分がバランスよくとれたということにはなりません。

辛いものは避ける

からくない料理にも、食塩が隠れて入っていることがあります。また、みそ汁やうどんのかけ汁がからいからといって、お湯を足してうすめればよいというものではありません。全部飲みほしてしまえば、塩分量は結局同じことなのです。

バターや卵や有害

バターや卵、獣肉をたくさんとりすぎる欧米では、バターをマーガリンにかえ、獣肉を鶏肉で代用することがすすめられても当然ですが、これはバターや獣肉が健康に有害だという意味ではありません。要はとりすぎが悪いのですから、ふだんバターや卵をほとんど食べていない人までが、これを敬遠する理由はどこにもありません。

田舎料理をバカにする

動物性脂肪をとりすぎてもいないのに血液中のコレステロールがふえている人は、食物繊維の不足に原因があります。「イモの煮物はいなか料理」などとバカにしてはいけません。血圧が高い人は食物繊維を摂ることを習慣化しなければなりません。

ため食い

「朝食抜き、夕食ため食い」をすると、太ります。また動物性脂肪をまとめて食べたあとは、血液が血管の中でかたまりやすく、動脈硬化が進んでいると、脳血栓や心筋梗塞の危険があります。

他人のでまかせを信用してしまう

現状では、効果が確実で副作用の少ない降圧薬がいっぱいあります。クコや紅茶キノコ、柿の葉ジュースなどといった民間薬にとびつく必要はないのです。まず医師を信頼してください。

1日2回以上外食する

これでは食塩のとりすぎと野菜不足は必定です。おなかいっぱいになっても、栄養のバランスがくずれては、病気は増悪するいっぼうです。特に食塩過多は高血圧を悪くするばかりです。

1日2杯以上味噌汁(スープなども含む)を飲む

汁物は、食塩がたっぶり入っているわりに塩からさを感じさせません。和食好きの外食党は、うっかりすると1日3杯も飲む人がいます。せいぜい1日1杯までにします。

どんなものにもしょうゆ、ウスターソースをかける

料理の風味を、しょうゆやウスターソースで消すことはないでしょう。これでは文明人の面よごしで、塩食い人種と呼ばれてもしかたがありませんしょうゆは割り醤油がおすすめです。

外食

外食について最低限の知識

外食ばかりしていると、からだによくない」というイメージが定着してしまっている人も多いです。しかしこれは、外食自体がからだに有害な食事だというわけではなくて、限られた食品だけで空腹感を満たすという、きわめて栄養のバランスが悪いところに問題があるのです。

なぜそうなるのかは値段とのかかわりです。栄養のバランスを目的とするなら、あれやこれや種類を多く注文しなければなりません。しかし外食は手間賃がプラスされていますから、たかが湯豆腐や野菜サラダだけと思っても、値段がびっくりするほど高いものです。

客の側からは、財布とのからみで、自分の好みを選ぶわけですから、限度があります。これでは栄養のバランスがくずれても当然です。たとえば、ラーメン、そば、うどんをはじめ、カレーライス、ピラフ、スパゲッティ、シュウマイ、ギョーザなどは、糖質過多でたんばく質の欠乏はNGという意味ではありません。卵を加えて月見うどんとしたり、また具の多い鍋焼きうどんや五目そばを選ぶなり、あとで牛乳とくだものを買って補ったり、いろいろ手段はあるわけです。

近ごろのレストランでは、昼食に定食を提供しているところがあります。焼き魚、魚フライ、レバーのニラいため、八宝菜などをご飯と組み合わせた外食は、たんばく質を補給する意味では好ましいのですが、ミネラルやビタミン不足になることは必定です。特に定食にみそ汁がついているとなると、家庭と外とで1日に2杯も飲むことになってしまい、これでは塩づけです。天どんやカツどんなどのどんぶり物は、たんばく質を補強しているとはい、え、こってりした味を生かすために食塩がたっぶり使われているうえに、野菜不足はいかんともなし得ません。

外食はこうやってバランスを取る

メニュー

デメリット

改善策
かけそば・かけうどん
  • 糖質過多・たんぱく質不足
  • 食塩過多
  • ビタミン・ミネラル不足
  • 卵をトッピングして月見にする
  • 汁を残す
  • 食後に牛乳・果物を追加する
どんぶりもの
  • 糖質過多
  • 塩分過多
  • ビタミン・ミネラル不足
  • 食後に果物を食べる
寿司
  • 塩分過多
  • ビタミン・ミネラル不足
  • シャリを残す
  • 果物を補う
パスタ・ピラフ
  • 糖質過多
  • ビタミン・ミネラル不足
  • 牛乳、果物を補う
定食
  • 塩分過多
  • 味噌汁、漬け物は残す
  • 茶碗蒸しや酢の物に変えられればベスト


外食は1日1回が基本

外食の特徴は、食塩が多すぎることと、栄養のアンバランスにあるのです。ということは、高血圧の人が外食をとるときは、1日に1回だけとし、他の2食は家庭食でバランスの狂いを是正するのが良策といえましょう。

合併症の食事の注意

日ごろ血圧の高い人が治療を受ける場合、診察や検査の結果、同じ高血圧の人でも、ある人は糖尿病を合併していたり、またある人は血清総コレステロール値が高かったり、血清尿酸値が高めだったりというぐあいに、血圧以外にも脳卒中や心筋梗塞に関連する異常所見をもっている場合が少なからずあります。
こういった場合、血圧を下げるために食塩を1日7gにおさえるというのは共通したことですが、そのほかに、どういう点に注意を向けなければいけないのかという概要をまとめています。

糖尿病

まず痩せる

たとえ血圧が薬で下がっているにせよ、糖尿病があると、血圧値の異常が軽度であっても血管はどんどん傷めつけられ、いずれ脳卒中や心筋梗塞に見舞われます。
ところで糖尿病の治療には優れた薬がたくさんありますが、これらを長く使っていると、かえって心筋梗塞をおこしやすくなるという調査もあります。
またある種の薬は、血糖を下げるには効果があるけれど、血管系の事故をおこしやすいという理由で、今は使われなくなったものがいくつもあるのです。一般に、糖尿病の人は太っていることが多いのですが、こういう場合は、糖尿病の薬を使うことよりも、まず肥満を是正するのが正しい治療法です。
肥満しているとインスリンの働きがうまくいかず、これをカバーするすいそうために過剰のインスリンが膵臓からう分泌されますが、これが附状硬化を促進するはめとなるのです。
やせるためには、標準体重と労働量を考慮に入れて、必要最低量の食事をとることです。同時に運動をすると、糖代謝が盛んになり、効果的です。

高血圧の治療に使われる降圧薬のなかに利尿薬がありますが、これは体内のカリウムを減らす副作用をもっています。もしカリウムが減ってしまうと、今まで血糖値が正常であった人でも糖尿病になることがわかっているくらいですから、すでに糖尿病にかかっている人は、たっぶりカリウムを食事で補っていかねばなりません。そのためにはカリウムの多い野菜やくだものをしっかりとっていただきたいのです。ただし、甘いくだものは、存外と熱量も多〈、これが肥満につながるので注意しなければなりません。この点は葉菜類はカリウムが多い反面、熱量はほとんどありませんので、好適な食べ物です。さらに葉菜類は食物繊維をたっぶり含んでいますから、同じ食事をしたところで、血糖値の急激な上昇は防げます。

コレステロール・中性脂肪が多い

太っている人は痩せる

太ると体内のコレステロール生産が増え、ますますコレステロールはふえます。また、ある程度の脂肪をとっている人たちは、太ると例外なく中性脂肪がふえてきます。肥満は降庄薬の必要量もふやしますが、降圧薬の量がふえると、長い間には副作用が出てこないともかぎりません。余分な熱量のとりすぎは、控えます。

脂肪の摂りすぎに注意

現代人の場合、脂肪のとりすぎだけが高脂質血症の理由とはいえません。しかし、日ごろおつき合いが多く、特にホテルでのフルコースを毎週食べているような人は、アメリカ人と同じ脂肪のとりすぎが原因となっています。ここは上手に残す工夫をしてほしいものです。丸めたバターも、デザートのアイスクリームも、ほどほどにしましょう。

食物繊維を十分に摂る

コレステロールが多い人のほとんこの副作用が特に出やすいのです。

アルコールを控える

酒飲みが痛風にかかりやすいというわけではありませんが、日ごろぜいたくな食事をしている人にとっては、アルコールが血清尿酸値を上げる原因となります。昔は白ワインなら安全だとか、蒸留酒ならその害がないとかいわれましたが、これはまちがいで、アルコール類なら、どんなタイプのものでも作用は同じです。アルコールの代わりに湯茶を多めにとって尿量をふやすことは、尿酸値をふやさないコツでもあります。糖尿病の人なら血糖が急上昇しない沖縄の泡盛がおすすめです。

尿酸が多い人

まずダイエット

尿酸がふえすぎると痛風という病気にかかりますが、痛風にかかっていない人でも、血清中の尿酸がふえると心筋梗塞にかかりやすくなることが知られています。そしてぐあいの悪いことに、利尿降圧薬が尿酸をふやす副作用をもっており、日ごろ太っている人では、この副作用が特に出やすいのです。

アルコールを控える

酒飲みが痛風にかかりやすいというわけではありませんが、日ごろぜいたくな食事をしている人にとっては、アルコールが血清尿酸値を上げる原因となります。昔は白ワインなら安全だとか、蒸留酒ならその害がないとかいわれましたが、これはまちがいで、アルコール類なら、どんなタイプのものでも作用は同じです。アルコールの代わりに湯茶を多めにとって尿量をふやすことは、尿酸値をふやさないコツでもあります。

動物性食品を芋類などにかえる

尿酸がプリン体を材料として作られるというところから、昔はプリン体含有量の多い食品(肉エキス、臓物など) をひかえるべきだと考、えられていたのですが、実はこのプリン体は、体内の糖質からも脂肪からも作られるのです。ここはむしろ、動物性食品を穀類や芋類といった植物性食品で置きかえることに重点をおいたほうが賢明です。

どうしてもダメなら薬を使う

高血圧治療のベースとして使われる利尿降庄薬は、血清尿酸値を上げる副作用をもっているのですが、食生活が今ほど豊かでなかった時代には、この副作用はほとんど出なかったのです。しかし昔の質素な食生活に戻れというのではありません。カロリーと動物性食品を制限してみて、それでもうまくいかない場合は、体内で尿酸が合成されにくくなる薬や、体内の尿酸が排泄されやすくなる薬を使えばよいのです。痛風・高尿酸血症の治療に使われる薬についてはこちら。

心電図に異常がある

カリウムをしっかり摂る

高血圧の人にとって重要な心電図変化は、左心室肥大と心筋虚血の所見です。いずれも高血圧を長い間ほうっておいた証拠ですが、このままだと、心筋梗塞をおこす危険があると同時に、脳卒中をおこす確率も大きいのです。こういう人は、カリウムを積極的にとるように心がけてください。
高血圧の食事療法の第一が食塩の制限であり、カリウムはその補助手段としてたいせつです。ところが心筋梗塞の予防という意味では、カリウムの補給は、補助手段どころか積極的手段であるのです。これは、心筋内のカリウムが少ないと心筋の抵抗力が減り、酸素不足にさらされたとき、いとも簡単に梗塞をおこしてしまうからです。

アメリカの宇宙基地では、宇宙飛行士たちにオレンジジュースを欠かさず補給していますが、これは、宇宙船の中でのストレスに、心筋が十分耐えられるようにとの配慮なのです。実際にオレンジジュース200mlの中には0.4gといケ大量のカリウムが含まれています。
もちろんオレンジジュースだけがカリウムの多い食べ物ではありません。新鮮な野菜やくだものは、特にカリウム・ ナトリウム比が大きいのですから、積極的にとるようにおすすめします。

動物性脂肪を一気に大量に食べない

動物性脂肪は血液の凝固性を高める働きをもっています。いくら1日に必要なだけの脂肪だからといって、1回の食事だけに集中してとると、血栓症をおこす危険があります。

眼底に異常がある人

動物性食品をしっかりとる

同じ高血圧の場合でも、日本人は脳卒中にかかりやすく、欧米人は心筋梗塞にかかりやすいのですが、この違いは人種差というより、むしろ動物性食品のとり方に問題があるのです。
つまり獣肉や乳製品をとりすぎると冠状動脈硬化が進んで心筋梗塞になりますが、芋類や穀類といった糖質に偏った食生活をしていると、脳の細動脈が傷ついて脳卒中をおこすのです。
眼底に見る動脈は細動脈そのもので、しかも脳動脈に近い部位にありますから、眼底の動脈に異常があるということは、脳細動脈にも同じような異常があると考えてよいのです。ところで高血圧の正しい治療をしていると、眼底所見はある程度よくなってくることがわかっています。
この正しい治療とは、単に血圧を下げるだけでなく、栄養不足を改善させたり、乳製品をしっかりとったりすることです。特別な理由がないかぎり、牛乳は1日1本、卵は1日1個とることを心がけてください。もちろんバターを料理に上手に使うこともたいせつです。

食塩制限

脳動脈が傷んでいると、急激な血圧上昇に耐えきれなくなって、思わぬ事故がおこります。この不慮の血圧上昇は、細動脈の突然の収縮でおこりますが、細動脈の収縮をおこす引き金は交感神経の緊張です。
特に細動脈壁内の食塩含有量が多いと、交感神経のちょっとした緊張で、いとも簡単に細動脈は反応するのです。つまり、脳卒中予防という点からは、ふだん食塩のとりすぎを厳守し、細動脈壁内の食塩含有量をぜひとも減らしておく必要があるのです。眼底所見が進んでいる場合は、たとえ降庄薬でふだんリラックスしているときの血圧が下がっているからといって、安心しきってはいけないのです。1日7gを目標に、厳重に食塩制限を守ることが脳卒中予防のコツです。

尿に異常がある人

香辛料を控える

一般に尿検査というと、高血圧に関してはたんばく、糖、沈渣をしらべるわけですが、ここでは、尿たんばくが(+)だったり、尿沈渣で赤血球が出ている場合にしぼります。
もちろんこういった尿所見があったからといって、いきなり腎臓の病気と決めつけるわけにはいきません。膀胱の病気でも、尿路結石症でも同じような尿異常がおこります。こうした腎組織以外の病気のときは、その病気にかなった治療を受ければよいのですが、いろいろしらべてみて、これが腎臓自体の病気であるとわかった場合には、その原因は2つあります。1つは高血圧のために腎臓の細動脈が傷ついて腎臓が障害を受けたタイプであり、もう1つは、元来、腎臓に病気があってその結果血圧が上がっているというタイプです。いずれにせよ、腎臓が原因でたんばくや赤血球が尿に出ているときは、腎臓を刺激することは禁物です。この意味で、腎臓を刺激する香辛料はとりすぎないように留意する必要があります。しかし、腎臓の機能そのものが障害されていないのなら、食事でのたんばく質やカリウムまで制限する必要はありません。
高血圧による腎臓の細動脈病変は、脳の細動脈病変と似て、栄養が悪いとどんどん進みます。ですから今まで粗食だった人は、動物性食品をしっかりとり、高血圧に対して腎臓の細動脈の抵抗を高める必要があります。

食塩を正しく制限する

食塩は多くとればとるだけ、腎臓の細動脈に負担をかけます。この時点で悪い食習慣を是正しておかないと、いずれ腎臓が広い範囲に障害をおこし、結局は腎機能不全という最悪の状態に追い込むことになります。こうなると、もう食事療法だけではどうにもならなくなります。

腎機能に障害がある

良質のたんぱく質を摂る

元来、食物中のたんばく質とからだを構成しているたんばく質とは、アミノ酸構成が違っており、考えなしにたんばく質をとると、足りないアミノ酸もあれば、余分なアミノ酸もあるということになります。腎臓の機能が健全なら、不必要なアミノ酸は、尿素その他の窒素成分として尿中に排泄されますが、機能に障害があると、排泄不十分のため、体内に不要の窒素成分がたまりすぎ、危険状態を招きます。したがって、腎機能に障害がある場合は、アミノ酸の過不足がないように食事に気をつかうことがたいせつです。
特に米やパンに含まれるたんばく質は、アミノ酸構成がからだのたんばく質とはかなり違っており、不必要な窒素成分が体内に停滞する結果となります。食べすぎないようにしてください。
体内で過不足なく利用できるたんばく質は、卵白と牛乳です。卵白なら、体重60kgの人でも25gとれば十分です。

カリウムの制限

腎臓の機能が悪いと、カリウムの排泄がうまくいかなくなりますが、カリウムは体内にたまった窒素成分と相まって尿毒症の原因となります。カリウムは野菜に多いので、野菜を食べるときは、細かく切って十分に水洗いするか、よく煮て、カリウムが少なくなった状態でとる必要があります。野菜を食べるときは、細かく切って十分に水洗いするか、よく煮て、カリウムが少なくなった状態でとる必要があります。
血圧が高い場合には、カリウムを十分に摂るとナトリウムが排泄されて血圧が下がりますが腎機能が低下している場合、カリウムを摂りすぎると心臓麻痺を起こすことになるので十分注意します。腎臓が悪くなっており、タンパク尿や血尿がでていてもクレアチニンやBUNなどの数値が正常であれば腎機能は正常です。カリウムはしっかり摂るようにします。

食物繊維が重要

食物繊維がすばらしい理由

食物繊維の重要性が叫ばれてだいぶ経過しました。現代人にその重要性は伝わったのでしょうか?、中央アフリカに住む原住民が大腸がんにかからないのは、たくさん食物繊維をとるおかげで、腸内で細菌が作り出した発がん物質が洗い流されてしまうからしいという考え方が動物実験で確認されたのは、20年も前のことです。

また食物繊維が、血液中にふえすぎたコレステロール値を下げる働きをもっていることは、もっと前からわかっています。食物繊維というと野菜に多いと誰もが知っていますが、ひと口に食物繊維といっても、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナンといろいろあります。

ところで、食物繊推がなぜコレステロール値を下げるのかというと、腸の中で胆汁酸を吸着して便といっしょに排泄させてしまうことに理由があります。胆汁酸は脂肪の消化を助けるために胆のうから出てきますが、目的を達したあとは、小腸の末端部で完全に再吸収され、肝臓へ戻り再び利用されます。

戦後まもないころは、1日に20g近く食物繊維をとっていましたが、食物繊維が多いと胆汁酸が再吸収されずに、どんどん失われてしまいます。そこで胆汁酸を減らさないために、体内で生産されているコレステロールが次々と胆汁酸に変わっていくのです。

ところが、最近の食生活は、7分づきのご飯が白米になっており、パンというと精製した小麦粉でル作ってあり、イモやインゲンの煮物はいなか料理とバカにして食べないというありさまですから、食物繊維の摂取量はかなり減りました。

ここ10数年はおよそ16gで推移しています。これでは胆汁酸が足りなくなることはないので、1日に500mg~1000mg生産されているコレステロールは使われようがなく、どんどん血液中に、増えていくというわけです。

実際に日本では、ふだんコレステロールや脂肪を摂りすぎてもいないのに血清総コレステロールが異常にふえてしまっている人が急増しています。
この原因こそ実は食物繊維不足なのです。1日20~25gを目標に摂取したいものです。コレステロールを確実に下げる薬は世界中のどの国にもなく、日常の食事をしらべても脂肪やコレステロールのとりすぎはないし、ほとほと困ったのですが、グルコマンナンという食物繊維をたっぶりもっているコンニャク精粉をためしに飲んでみたところ、血清総コレステロールはみごとに下がりました。

もう1つの食物繊維の効果は、糖尿病の予防と治療です。
食物繊維の多い食べ物をとると、胃内停滞時間が長くなり、その結果、食べ物を腸へ少しずつしか送り込めません。このことは、血液中のブドウ糖が急速に上昇するのを防ぐという意義をもっているのです。また、海藻類はアルギン酸という食物繊維をいっぱい含んでいます。このアルギン酸は、腸の中でナトリウムを吸着して便といっしょに排泄されますが、これによって血圧が下がったという成績が知られています。

なお食物繊維は、鉄、鋼、亜鉛といった健康にたいせつな微量元素を吸着し、腸での吸収を妨げるという悪い面をもっています。その意味では、食物繊維を薬としてのむのではなく、自然の食事としてとるのがよいのです。

どんな食物繊維がいいか

野菜はおおぎっばにいって食物繊維を1%含んでいます。しかしキャベツだけで10gの食物繊維をとろうとすると、1kgも食べなければなりません。
野菜や葉は煮たりゆでたりすれば食べやすくなりますから、おひたしや鍋物にするとよいでしょう。なにも野菜だけで食物繊維をとらなくてもよいのです。くだものにはペクチンというりっばな食物繊維が含まれています。
なかでもリンゴは、2~5%もの大量のペクチンを含んでいます。皮の内側に多いので、皮ごと食べることです。そのほかインゲン、トウモロコシ、イモ類なども積極的にとるといいでしょう。
こんな食習慣はNG、コレステロール値を下げる4つの食習慣は特にNGですので注意します。

コレステロール

ほとんどは体内で作られる

血液中のコレステロールは、ほとんどが体内で作り出されたものであり、食品としてとったコレステロールはほんの一部にしかすぎません。

それにしてもコレステロールをたくさん食べると血清コレステロールがふえるという理由で、米国では1日300mgに制限するようにすすめられています。ところで以前は、コレステロールは、とればとるほど血清コレステロールがふえるものと考、えられていましたが、食品としてとったコレステロールは4割が吸収されるだけで、残る6割は便といっしょに排泄されるという成績も知られており、とにかく現在では、すでにある程度のコレステロールをとっている人が、さらにコレステロールを多くとっても、血清コレステロール値はたいして変わらないということがわかってきたのです。

たとえば食品中のコレステロールが100mgまでの範囲では、血清コレステロールはいっこうにふえませんが、100mgをこすとその分に応じて上昇してきます。

ところが300~400mg以上となると、血清コレステロール値は頭打ちとなって、それ以上はあまり上昇してこないのです。

アメリカの食習慣では、コレステロールは1日に400~500mgとりますが、これを300mgにおさえると約10mgコレステロール値が下がるという計算となります。

卵がいけないのはアメリカの話

アメリカ人がとるコレステロールの約半分は卵黄です。それも卵そのものとしてとる分が半分、残る半分は卵黄を使った食品です。アメリカ人の食習慣では、肉や乳製品を制限することはたいへんむずかしいところから、せめて卵ぐらいはがまんするようにといわれているわけがここにあります。

しかし、だからといって日本人がこれを真に受けることはありません。というのは、コレステロールを食べても血清コレステロールがふえる人とふえない人とがあり、特に日本人はふえない体質の人が多いようです。

その理由の1つは、コレステロールを食べても、同時に十分な脂肪をとらないことには腸から吸収されにくいという点にありましょう。つまり日本人は、欧米人ほどは脂肪をとっていないのです。

安定したコレステロール値のために積極的に摂りたい5つの栄養素を習慣化するといいでしょう。

脂肪・油

脂肪はコレステロール量に関係する

高血圧の重要な合併症である心筋梗塞は、血清稔コレステロールが増えれば増えるほど多発します。血清総コレステロール値が高く、日本の4~5倍も心筋梗塞で死亡する欧米諸国では、コレステロールが悪者扱いされても当然のことです。

しかし「コレステロールは低いほうが安全だ」という欧米の考え方をそのまま日本にもち込んで、はたしてよいものなのでしょうか。この点については、日本に多発している脳卒中という病気が、コレステロール値の低い人が多いのです。
コレステロールとは?
そして、血液のコレステロールに大きく影響しているのが、ひと口にいえば脂肪なのです。

植物性ならいいは本当?

一般に、動物性脂肪はコレステロールをふやし、植物性脂肪はコレステロールを減らすといわれていますが、そんな単純なものではありません。

実は同じ脂肪でも、それを構成している脂肪酸には3つの種類があって、不飽和基を1つだけもっている一価不飽和脂肪酸はコレステロールを下げることが最近わかりました。
一方、飽和脂肪酸はコレステロールを上げるといわれていますが、この作用があるのはラウリン酸、ミリステン酸、パルミナン酸だけです。

そして不飽和基を2つ以上もっている多価不飽和脂肪酸はコレステロールを下げるといわれていますが、実際にコレステロールを下げるのは、植物油としては米油、コーン油、ペニバナ油、小麦胚芽油、ヒマワリ油だけです。

これに対し、魚に含まれる油は中性脂肪も下げる作用をもっています。

血栓の予防にEPA・DHAhttp://more-supplement.info/use/archives/30

また、ひと口に植物性脂肪といっても、飽和脂肪酸のほうが多価不飽和脂肪酸より多いヤシ油やココナツ抽は、コレステロールをふやす働きがあるのです。もう少し詳しくいうと、飽和脂肪酸がコレステロールをふやす力は、多価不飽和脂肪酸がコレステロールを減らす力より2倍も強力なのです。

では多価不飽和脂肪酸の含有量が多ければ多いほどコレステロール値を下げる力が大きいのかというと、必ずしもそうでありません。米(ヌカ)油は天ぶら油として多価不飽和脂肪酸を35%しか含んでいませんが、これを80%含んでいるペニバナ油( サフラワー油)とたいして変わらない働きをもっています。なお多価不飽和脂肪酸は、n・6系列とn・3系列があります。n・6系列とn・3系などはダイエットにも必須です。

魚と肉の作用は正反対

ところで近年、EPA(エイコサペンタエン酸) と呼ばれる多価不飽和脂肪酸が注目されています。これは、グリーンランドに住むイヌイットが粥状硬化症をおこしにくいということに研究の発端があるのですが、彼らの体内にはトロンボキサンと呼ばれる物質がまったくといってよいほど作られていません。この物質は、血管壁に血小板を呼び寄せて粥状硬化発生のきっかけを作り出す作用があって、アラキドン酸から作られるのですが、イヌイットの体内には、アラキドン」酸がEPAに置きかわっているのです。

EPAは魚油に含まれていますが、タイやカレイといった高級魚には意外と少なく、むしろイワシ、サバ、サンマ、アジといった、俗に青物と呼ばれる大衆魚に大量含まれています。最近は、高級魚は養殖されたものが多く流通しているので、体のことを考えたら大衆魚のほうがおすすめです。

また体内でEPAから合成されるのがDHA(ドコサヘキサエン酸)で、これも血液凝固をおさえる作用があります。

マグロ(特に目)やブリ、サバ、ウナギなどに多く含まれます。これに対して獣肉の脂肪は、トロンボキサンをたくさん作り、粥状硬化を促すだけでなく、血液の凝固性を高めますから、血管内で血液が固まりやすくなり、血栓症をひきおこす危険性をもっているということになります。それでは、「獣肉の脂肪はコレステロールの問題だけでなく、いろいろないたずらをするから、多価不飽和脂肪酸の多い植物油や魚の油が安全だ」と考える人も多いことでしょう。

ところがこの多価不飽和脂肪酸が多すぎると、またやっかいなことがおこります。多価不飽和脂肪酸は実に不安定な存在で、脂肪の過酸化物を作りやすいのです。これが老化現象に拍車をかけることは古くから知られていますが、また同時に粥状硬化の発生にも一役買っているほか、発がん物質の作用を強める作用ももっているというありさまです。

このためWHOでは、多価不飽和脂肪酸は総熱量の10%におさえるようにと警告しています。ところで、コルフ島やクレタ島に住むギリシャの人が動脈硬化にもかかりにくいし、がんにもかかりにくいというのは有名です。
これは彼らが浴びるほど使うオリーブ油に理由があるのではないかと考、えられていますが、このオリーブ油の主成分は一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。

では一価不飽和脂叩肪酸ならからだによいのかというと、必ずしもそうではないのです。エルカ酸という一価不飽和脂肪酸は心臓の筋肉を傷める作用をもっています。これはナタネ油に多量含まれていますので、WHO では「ナタネ油を食用とするとき、低エルカ酸油を使うか、ほかの抽と混ぜて使うように」と勧告しています。

脂肪の上手な摂り方

以同じ脂肪といっても、一方に偏りすぎるといろいろな問題がおこります。国民栄養調査に基づいて脂肪摂取の比率を次のように定めています。

  • 望ましい脂質エネルギー比率は、総摂取エネルギーの20~25%
  • 飽和:一価不飽和:多価不飽和=3:4:3
  • n-6:n-3=4:1

たんぱく質

たんぱく質が不足すると脳卒中の原因になる

実験用のネズミとして、高血圧自然発症ラット、脳卒中易発症ラットと呼ばれるネズミを作り出しました。これらのネズミは遺伝素因が強いため、ほうっておいてもほとんどがが高血圧になります。

アメリカの研究者がこのネズミを本国へ持ち帰り、いぎ実験を始めてみると、思うように血圧は上がってこないし、脳卒中にもならないという結果が出ました。

日本では血圧が上がるのに、なぜアメリカでは血圧が上がらないのえさかというと、実は餌の成分に違いがあったのです。日本もアメリカも、塩の量は同じだったのですが、たんばく質の含有量がアメリカの餌のほうが格段と多かったのです。

また、脳卒中の多い農村と脳卒中の少ない魚村とを比較すると、魚村のほうが尿中に多くの無機硫酸を含んでいることが調査されました。この理由は、魚村のA食事には魚介類が多いことにあるのですが、これは、たんばく質をきちんととっていると、血管が丈夫になり、脳卒中になりにくいという1つの暗示です。

高タンパクは食塩の害も減らす

もうひとつの重要な研究があります。これは、高血圧の家族歴をもっているが現在のところは正常血圧である群と、高血圧や脳卒中の家族歴をもたない正常血圧群について、それぞれ1日25gずつの食塩を摂取させたものです。そうすると、高血圧の素因をもっている群の血圧ははっきり上昇したのですが、素因をもっていない群の血圧はほとんど上がりませんでした。
ここでいったん減塩食に戻しておいて、素因をもつ人たちに、1日25gの食塩摂取を再び行いましたが、今度は動物性たんばく質を40gから110gに増加してみたのです。すると、前は血圧が上がったのに、今度はあまり上がらないという結果が出ました。そして尿中へナトリウムがどんどん排泄されていることが確かめられました。つまり動物性たんばく質は、ナトリウム排…泄を促進する作用があり、これが食塩の悪影響を打ち消したのだということがわかったのです。

「日本人の栄養所要量」によると、成人では中等度の活動の際、男性で70g、女性で60gのたんばく質が必要です。そして動物性と植物性を約半々の割合でとることが疾病予防の上でたいせつだと提言をしでいます。
魚、大豆、野菜、海藻を積極的に摂る | 心臓病の基礎知識
かつて脳卒中が多発した農村では、動物性たんばく質の摂取が少なめでした。現在では食生活が改善されて増加傾向にあります。米どころに住む人たちは、どうしても食塩過多になりがちですから、塩分の害を防ぐ動物性たんばく質を積極的にとりましょう。

動物性と植物性の違い

たんばく質というと、アミノ酸がたくさん結合して構成されたものですが、このうち、血圧を下げ、脳卒中を予防する作用が強いアミノ酸というと、メチオニン、リジン、プロリン、タウリンといったところです。特に魚のたんばく質はこの効果が強いといわれていますが、最近ブームになっている大豆のたんばく質には、血圧を下げる力がほとんどありません。

この二つのたんばく質の違いはどこにあるかというと、魚がもっているメチオニンというアミノ酸が大豆にはほとんどないのです。これは大豆に限った話ではなく、植物性たんばく質全般にいえることで、メチオニンをほとんど含んでいないのです。高血圧と脳卒中を予防する意味では、特に動物性たんばく質が重要だということがおわかりいただけたと思います。

それでは動物性たんばく質はできるだけ多くとればよいのかというと、これまた早計なのです。というのは、動物性たんばく質は、動物実験上、粥状硬化症を促すことが古くからわかっているからです。

これに対して植物性たんばく質は、粥状硬化症の発生には関係ないとされています。それどころか、大豆を食べるとコレステロール低下に効果があります。
大豆たんばく質がコレステロール値を下げる作用は、アミノ酸構成というより、アルギニンというアミノ酸が関係しているのではないかと考えられています。

たんぱく質の上手な摂り方

動物性たんばく質と植物性たんばく質を半々にとるのが理想です。植物性では、量のわりにたんばく質が多いのは大豆です。ご飯は1日軽く3杯でたんばく質は21gになりますが、豆腐だと3分の1丁で9gのたんばく質がとれるのです。
野菜は1日少なくても300gとることがすすめられますが、これだけで5gのたんばく質が含まれます。くだものはたんばく質は含まれません。

動物性たんばく質として1日に必要な目安は、切り身の魚を1切れ89g、獣鳥肉60g、卵1個、牛乳1本というところで、これで動物性たんばく質33gになります。
以上は、糖尿病の基礎食(1200kcal)と同じです。

人間が生きていくために必要かつ最低のエネルギーは1200kcalです。これは、標準体重60kgの人が、ただ横になってじっとしているとき(1kg当たり20kcal消費する)の1日の必要エネルギー量と同じ理想的な栄養配分例です。そして、たんばく質をはじめ、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなど、最低必要な栄養素が完全に組み込まれているのが下表で、糖尿病の基礎食と呼ばれているものです。

降圧剤の前にカリウムをしっかり摂る

できるだけ食品の力で下げる

自然のままの食生活を営んでいる未開の原住民が、食塩をほとんどとらず、血圧も高くならないことはよく知られています。
南米アマゾンの秘境に住むヤノマモインディアンは、Ⅰ日にとる食塩量がわずか0.1gということです。
それだけでも彼らが絶対に高血圧にかからない理由がわかりますが、さらに驚くべきことに、カリウムを8gもとっているのです。

日本人のカリウム摂取量は国際的にも少ないと有名ですが、平均して 2gそこそこです。つまり彼らは日本人の4倍ものカリウムをとっているのです。
これが高血圧発生をゼロにしているもう1つの理由です。

つまりカリウムは、少なくとも1日に2.5g、理想をいえば1日3gはとりたいものです。ただ薬物としてカリウムを補給しても、この場合は細胞の中へ入りにくく、いったん入ってもすぐ細胞外へ出されてしまうといわれています。

いちばんよい方法は、食べ物に自然に含まれているかたちで、食事としてとることなのです。

高血圧患者におすすめのカリウム食品

ところでカリウムは肉類にたくさん含まれていますが、高血圧に有害なナトリウムとの関連で考えると、カリウム/ナトリウム比が大きいものほど理にかなっているのです。
この意味では肉類のナトリウム含有量はかなり多いので、利用価値がありません。ただここで困ることは、食べ物に含まれるカリウムやナトリウムの量が分析表の違いによりまちまちな点です。これは同種の野菜やくだものでも、風土や土壌の違いによってミネラルの含有量も違ってくるからです。
それからもう1つやっかいなことは、カリウムを多く含んだ食べ物も、ゆでたり煮たりして調理すると、かなりの量のカリウムが失われてしまうことです。ナスやキュウリなども、輪切りにして水洗いすると、カリウムはほとんど失われてしまいます。

ということは、生のまま食べられるくだものや野菜(キャベツ、レタス、パセリなど) が好ましいということになります。それも新鮮なものがすすめられます。
トマトやオレンジなどもそのまま食べるか、フレッシュジュースにするのならカリウムが豊富に含まれていますが、缶詰めとか缶入りのジュースになったものには、カリウムはほとんど入っていません。

おまけに缶入りのトマトジュースの多くはナトリウムが多量に含まれますから、カリウム補給の点では感心できない食品です。
トマトの降圧成分血圧を下げる作用が強力な酢の成分を使った「ライオンのトマト酢」もあります。

豆類もカリウムが多く含まれていますが、調理するとき、カリウムが溶け出した煮汁を捨てない工夫がたいせつです。

カリウムを多く含んだ食品も、ゆでたり煮たりして調理すると、かなりの量のカリウムが失われます。カリウムの補給を第一に考えるのであれば、できるだけ生で食べられる葉菜類かくだものをおすすめします。

必須ミネラル「カリウム」

カリウムが必要な理由

カリウムに血圧を下げる働きがあることがわかったのは、もう50年以上も前のことです。そして血圧を下げる薬がまだなかった時代に、どうしようもない高血圧が、ご飯とくだものだけの食事でみごとに下がったという例も報告されました。

この降圧のしくみは、実は低ナトリウム、高カリウムの食事にあったのです。ところで、食塩をとりすぎる日本人にとって重要な降圧薬というと利尿降圧薬です。

これは、体内のナトリウムを腎臓から尿中へ追い出す作用をもっており、そのことによって血管壁のナトリウムを減らし、細動脈の抵抗が減るので血圧が下がるわけです。
ところが利尿降圧薬を長期間使っていると、使用量が多すぎるわけでもないのに、体内のカリウムが減っていきます。これは、ナトリウムが排泄されるとき、カリウムもいっしょに連れ出すからですが、その理由の1一つには、アルドステロンというホルモンが体内でふえるためです。

いずれにせよ体内のカリウムが欠乏すると、糖尿病や心筋棟塞が発生しやすいことが知られています。したがって、利尿降圧薬を使っているときは、定期的に血液中のカリウム濃度をしらべていく必要があるわけです。

カリウムの効果

血圧が高い人に積極的にカリウムを補給することは、血圧を下げる意味でも、利尿降圧薬の副作用を防ぐという意味でも有用で、まさに一石二鳥です。

ところで動物実験で、餌のなかにカリウムをふやすと高血圧になりにくいという例はいくつもありますが、日本の疫学調査で、食生活習慣上、ナトリウム・カリウム比が小さい人たちの血圧値は低く、この比率が大きくなるほど血圧値が高くなるということがわかっています。

では実際に、血圧が高い人にカリウムを補給すると有効なのでしょうか。この点については、興味深いデータがあります。カリウムを添加した調味料(食塩、みそ、しようゆ)を4週間にわたって使用した実験で、使用した直後に最大血圧、最小血圧ともにみごとに下がっています。そして使用を中止したとたん、どちらの血圧もはね上がっているのです。

つまり、カリウムの補給は、血圧降下に有効というわけです。なお、カリウムという電解質は、体内にたまりすぎると有害ですが、腎臓が正常に働いているかぎり、とりすぎたカリウムは尿中へどんどん排泄され、体内にたまりすぎることはないということが、実験で証明されています。そしてこの間、尿中へのナトリウム排泄も増加しています。

ただしナトリウムは、生体に重要な電解質なので、その急激な減少は、生体内の防御機構によって抑制されています。カリウムの降圧作用は、ナトリウム排泄のためだけではなく、レニン(血圧を上げるアンジンオテンシンという物質を作る働きがある)分泌の抑制や、昇庄物質に対する血管の反応性をおさえるところにも理由があるようです。

ダイエットを成功させるポイントがある

熱量をとるより使うことを考える

肥満とは、からだに余分な脂肪がついた状態をですが、これは、消費熱量を上回る熱量をとった結果、脂肪として蓄えられた状態です。
つまり、からだにつきすぎた脂肪を減らすには、消費熱量が摂取熱量を上回るように工夫すればよいのです。このようにひと口にいってしまえばいたって簡単なことが、なぜ思うようにいかないのでしょうか。
それは人間が、空腹でないのに食欲を覚えるためであり、また、お金さえあればからだを動かさなくても食べ物が手に入る文明社会にあるからです。したがって、ダイエットを成功させるためには、食事(摂取熱量)と、仕事や運動(消費熱量)を常に念頭に入れて、自分でコントロールするしかないのです。

いくら太っている人でも、それは脂肪が多いということであって、ビタミンやミネラルまで多いわけではありません。まして自分の体内で合成できない栄養素、たとえば必須アミノ酸や必須脂肪酸、ビタミンなどは、毎日きちんととる必要があります。これらを補給しないでいると、健康を害してしまいます。

間違ったダイエット法

まちがいやすいのは熱量に関する問題です。たとえば、「ご飯は太るからパンに変える」とか、「うどんは太るけれど、そばなら安心だ」という考え方です。実はどちらも同じ熱量なのです。食事の回数にしても、1日に2回となるとかえって太ります。

これは、おなかが減っているのでつい食べすぎてしまうという意味ではなく、おそら〈1日に1回とか2回しか食べ物が口から入ってこないときは、とったエネルギー源を無駄にすることなくからだの構成に利用して、効率よく肥満の条件を生み出すしくみになっているのでしょう。したがって、朝食や昼食を抜くのはかえって損です。

健康的に痩せるために!

  • 標準体重を調べ1日の必要熱量を調べる
    標準体重1kgにつき、30kcal
  • たんぱく質
    体重1kgにつき1gは必要
  • 脂肪
    全摂取エネルギーの20~25% とし、これを超えないようにする。日本人は現在上限の25%を超えているので要注意。油脂類のほか、肉、魚介、豆、卵、穀類、乳類などに含まれる「見えない脂質」にも気をつける
  • ビタミン・ミネラル
    有色野菜200gと牛乳l本分
  • 糖質
    エネルギー源としての働きをもっているために、肥満の仕掛け人として忌み嫌われがち。ただし糖質を極端に減らすと、体内の新陳代謝が乱れ、脂肪の不完全燃焼で酸血症がおこったり、たんばく質まで燃焼しはじめて高尿酸血症がおこる。このため、l 日に最低150gは必要(ご飯l杯で糖質は50g)

食べ過ぎを防ぐポイントなども大事。