血圧の変動

血圧はさまざまな要因で変動する

血圧値は身長や体重とは異なり1日のなかで大きく変動します。一般に血圧は、睡眠中が最も低く、朝から日中にかけて上昇してくるという、ゆるやかで大きな日中変動を示していますが、感情の高ぶりとか、肉体労件による瞬時の変動がこれに重なって、不用意に血圧をはかっても、得られた値をそのまま、その人のふだんの血圧値と決め込むわけにはいきません。

ところで血圧の連続測定を行い、1時間ごとに平均値を求めた研究によると、正常血圧の人や、高血圧症でも軽症の場合は、午後6時ごろから血圧が落ち着きはじめ、睡眠中の午前3時前後で最も低くなりますが、目がさめてからは急に血圧が上がってくることがわかりました。

今までの常識ですと、午前中の血圧は午後の血圧に比べて、かなり低いように考えられていましたが、実はそうではないようです。高血圧症の人でも、治療せずにいたため、左心室肥大を合併してしまうと、夜間睡眠中でも血圧の落ち着きは不十分となってしまいます。

高血圧の人の養生法の1つとして、昼間、高い血圧で傷んだ血管を回復するために、十分な睡眠をとることがすすめられていますが、高血圧がかなり進行した時期では、これも焼け石に水ということがおわかりでしょう。この連続的にはかった血圧値を1時間分当て平均化するという方法では、たとえばその一時間のうちに2~3分間不慮の血圧上昇がおこったとしても、平均化されて不明瞭になってしまいます。そこで今度は、1日の血圧を五分おきにはかったケースをみてみましょう。

どのくらい変動するか

血圧は、常に一定しているものではなく、安静に横になっている状態でも刻々と変動しています。たとえば最大血圧をみると、血圧が正常な人でさえ、15~40mmHg、高血圧の人では10~90mmHgも変動するのです。

5ふんおきに血圧測定すると

血圧が、日中は高く、睡眠中は低いといっても、一様に高い、低いというわけではなく、瞬時的に高くなったり、落ち着いたりをくり返していることがわかります。たとえば睡眠中にしても、電話のベルや救急車のサイレンが脳を刺激すると、無意識なのに、血圧はびっくりするくらい上がるものです。

ちょっとした動作でも変動する

  • 食事
    3~37mmHg
  • 横になって休む
    4~62mmHg
  • 咳をする
    26~123mmHg
  • 喫煙
    21~60mmHg
  • トイレで排便(洋式)
    32~97mmHg

これらを見ると、ちょっとした行動で、いかに血庄が変動すかがわかります。また人によって、血圧の上がり方はいろいろですが、血圧の高い人ほど変動が激しいものです。なにかのはずみで、たまたま一瞬の血圧が上がってしまうことが多いので、たった1回の血圧測定で、その人の血圧を評価することは無理です。
自分のほんとうの血圧値を知るためには、深呼吸をゆっくり5 回してみることです。こうすれば日ごろの血圧値に戻るので、この直後に血圧をはかってもらうとよいでしょう。

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